ドクターから一言

第27回「インフルエンザはカゼではありません!」

今年もインフルエンザのシーズンがやって来ました。
これは空気が冷え乾燥すると、インフルエンザウイルスが長時間空中に漂いやすくなるためです。
インフルエンザは一般のカゼの重いものと誤解されがちですが、人体に与えるダメージ、爆発的流行、致死的合併症等の点で一般のカゼとは大きく異なります。
症状は突発する高熱、悪感、頭痛、筋肉関節痛などが数日続き、合併症として怖いのは5歳以下の小児では脳症、高齢者では肺炎で共に致命的なことがあります。
高齢者では発熱が軽い場合、手当てが遅れて肺炎となることがあり、注意が必要です。
有効な予防法としてワクチン接種があり特に65歳以上、心臓、肺、肝臓、腎臓の悪い方、糖尿病や免疫力の低下している方には強く勧められています。
発症した場合は、数分で判定できる迅速診断キットにて判定し、48時間以内であればタミフル、リレンザ等の抗インフルエンザ薬が有効ですのでできるだけ早めの受診が肝心です。
また一般的な解熱剤は重大な副作用を起こす事があり、素人判断は危険で、必ず医師にご相談ください。
その他留意点として十分な栄養、休息、睡眠を取り、人混みは避け、帰宅後のうがい手洗い、加湿により空中のウイルスを落とすなどが重要です。
うがいはお茶や紅茶でするとより有効とも言われています。
皆さまどうぞお大事に。

第26回「高血圧と動脈硬化」

高血圧の状態が長く続くと心臓と血管に悪影響を与え、動脈硬化、心肥大、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こします。
血圧は元々全身に血液を送るため必要な圧力ですが、これが必要以上に高くなるのが高血圧で、その場合心臓は血圧に逆らって血液を送ることになり大きな負担がかかります。

また高血圧が続くと血管はその血流に耐えようとして厚く硬くなります。
これが動脈硬化ですが、多くの場合内側に向かって膨れ内腔が狭くなり、つまったり動脈硬化巣(プラーク)が壊れやすくなったりします。
これが心臓の血管に起きると狭心症、心筋梗塞となり、脳だと脳卒中になります。
また時には胸部や腹部の大動脈が外に向かって広がり大動脈瘤を起こすこともあり、近年人口の高齢化と共に急増しています。
破れて初めて発見される方も多く早期発見が大事で、高血圧の方は2、3年に一度は胸部レントゲンや腹部エコー検査を受けた方が良いでしょう。

動脈硬化やプラークの有無は血管エコーや脈波測定などの体に負担のない検査で簡単に調べられます。
そして、最も大事なのはできるだけ早期から適正な血圧を維持することです。
お薬を服用することに抵抗のある方も多いですが、血圧を下げることはいつまでも血管を若く保ち、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの取り返しのつかない病気にならないための最も有効な予防法です。

第25回「微小血管狭心症」

あまり聞きなれない病名ですね。
これは更年期女性に見られる狭心症で、女性ホルモンの減少が関係していると考えられています。
胸が締め付けるような痛みがあるが、心電図や心臓カテーテル検査をしても異常が発見されない場合、この病気の可能性があります。
女性ホルモンは微小血管を広げる働きがありますが、更年期になると減少するため血管の伸展性が低下し、ストレスがかかった時などに心筋内の細い血管が収縮するため胸痛が起こると考えられています。

いわゆる狭心症とは、心臓に血液を送る太い冠動脈の狭窄、収縮によって起こりますが、微小血管狭心症はそれから枝分かれした先の細い血管でおこるため、なかなか診断がつきにくいのです。
強い胸痛のある時はまず狭心症を疑い各種検査する必要がありますが、それで異常が見つからない場合は、この病気も疑ってみる必要があります。
このような場合、心臓の細い血管も拡張する作業のあるカルシウム拮抗薬を試していただき、服用して胸痛が改善される場合に微小血管狭心症だという診断にもなります。

この病気は過労・ストレス・不眠・寒冷などで誘発されることもあるので、できるだけ避ける必要があります。
気になる方は一度循環器科を受診ください。

第24回「夏に多い脳梗塞」

脳梗塞はこれまでとかく高齢者の病気と思われがちでしたが、元気な中年にも起こり得る病気です。
特に夏は1年の中でも脳梗塞の発症が多く注意が必要です。
では予防はどうすれば良いでしょうか。

まず大事なことは血圧コントロールです。
高血圧の方はそうでない方に比べ数倍多く発症するといわれています。
また糖尿病、高脂血症の方もコントロール不良だと頚動脈や脳の比較的太い血管の動脈硬化が進み、急に閉塞することがあります。
また、ある種の不整脈や心臓弁膜症の方は心臓のなかに血栓ができ、それが血流に乗って脳梗塞を起こす恐れがあり予防が必要です。

日常生活ではまず禁煙、それに大酒を慎み、肥満にならないようにして、水分を1日に1.5~2リットルを6~8回に分けて取り、いつも血液が濃くならないようにすることが大事です。
危険因子のある方は専門医の受診をお勧めします。

第23回「脳梗塞と心房細動について」

脳梗塞とは脳の血管に血栓が詰まり、その部分の脳細胞が死んでしまう病気で、発症後数時間以内に治療しないと失語やマヒなどの重大な後遺症を残す病気です。
これは起こり方により三型に分けられますが、このうち長嶋監督に起こったのは心原性脳梗塞症というもので、心臓でできた血栓が血流に乗り脳血管を詰まらせて起こり、代表的な原因が心房細動という不整脈です。

心臓は構造上主ポンプの心室と補助ポンプの心房からなり、心房細動はこの補助ポンプが痙攣(けいれん)する状態です。
但し、主ポンプの心室は動いていますので急に心臓停止する訳ではありません。しかし心房内を血液がグルグル渦を巻くことになり血栓ができ易くなります。
これが脳に飛ぶと脳梗塞になり、心房細動のない方に比べ5~6倍確立が高くなります。

これは心房細動が持続する慢性型も時々起こる発作型も差はありません。
ですから心房細動の方はまず薬で血栓を予防することが最重要で、発作型の方は不整脈の薬で心房細動を予防することも大事となります。

第22回「腎臓が悪いと脳・心臓にも合併症が?!」

慢性腎臓病という新しい言葉を御存知ですか。
これは新しく発見された腎臓病ではなく、腎炎、糖尿病、高血圧、腫瘍、結石などの原因から腎機能が低下した状態を表わし、具体的にはタン白尿の持続、血液検査上の腎障害の存在、計算上求められた腎ろ過量が60ml/分以下のいずれかがあると診断されます。
つまり比較的早期から腎障害を把握し積極的に治療することにより、将来透析になるのを防ぐことが一つの目的です。実際日本では年間15000人ずつ透析患者さんが増えており、なかでも糖尿病性腎症から腎不全→透析になる方が急増しており医療費を圧迫しています。
実は慢性腎臓病の怖いところはそれだけではなく、これがあると動脈硬化の進行が速いため、心筋梗塞、脳卒中が数倍多くなることです。
これには腎から分泌されるレニン・アンジオテンシン系といわれる、血管を収縮させ体から塩分水分が出るのを防ぎ、血圧を上げるホルモンが大きく関わっています。
このことから慢性腎臓病や糖尿病のある高血圧の方はより厳密な血圧コントロールが求められています。
お薬はこのレニン・アンジオテンシン系を抑える薬やカルシウム拮抗薬などが使われます。
ぜひ尿検査や腎臓の血液検査を受けましょう。
そして慢性腎臓病と診断されたらむしろ早期発見できて幸運と考え、適切な治療を受け脳卒中や心筋梗塞、透析などを防ごうではありませんか。

第21回「血液サラサラ療法について」

脳梗塞は、今でも発生数は多いですが、治療の進歩により救命率は高まっています。
しかし一旦発症すると後遺症残すこともあり予防が大事です。
また一度起こしてしまうと再発率が高く危険です。
脳梗塞は生活習慣病から動脈硬化を起こし脳の血管が詰まる脳血栓症と心房細動などの不整脈や他の心臓病によって心臓の中に血栓ができ、脳血管に飛んで詰まる脳塞栓病に分けられます。
この2つは血栓が詰まる点は同じですが、血栓の成分が異なるため治療法は別です。
脳血栓症には抗血小板薬を用い、低用量アスピリン、パナルジン、プラビックス、プレタールなどがあります。
このうちパナルジンは飲み出してから2カ月間は2週間に1度の血液検査が必要です。
一方脳塞栓症には抗凝固薬のワーファリンを用います。これは予防効果に優れた薬ですが、最適治療域が比較的狭く、有効量に非常に個人差があり、体調によっても効果が変わるため、こまめに血液検査し量の調整をする必要があります。
また納豆、クロレラ等のビタミンKを多く含む食品はワーファリンの効きを弱めるため、制限する必要があります。
このややめんどうな点から、ワーファリンが必要なのに飲んでいない方も多数おられますが、特に高齢者は脳梗塞を起こすことが高まるため、塞栓病を起こす可能性のある方は服用をお勧めします。
もちろん生活習慣病がある方はそちらの治療も必要なことは言うまでもありません。

第20回「防ごう脳梗塞」

脳卒中は現在でも日本人の死因の第3位で脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞に分けられます。
この内脳梗塞が全体の62%と大半を占めます。
さらに脳梗塞は細い血管が徐々につまってくるラクナ梗塞、脳動脈硬化のため血流が低下しておこるアテローム血栓性脳梗塞、心臓内の血栓が脳動脈につまっておこる心源性脳梗塞症に分けられます。
ラクナ梗塞は高血圧や糖尿病の方に多く、自覚症状があまりなくても進行すると痴呆になることがあります。
アテローム血栓症脳梗塞は脈硬化が元ですから、高血圧、高脂血栓、糖尿病、喫煙、肥満などに関係が深く、大発作の前に前兆(一時的なしびれ、脱力、マヒ、言語障害等)のあることがあります。
心源性脳梗塞症は心房細動という不整脈の方に多く発症します。
従ってこれらの危険因子+自覚症状のある方はぜひ治療が必要です。
また生活習慣の乱れている方はそれを見直し、禁煙、節酒、食生活の改善、運動習慣、適正体重の維持、そして心身の休養にも留意してください。
またこの時期42度以上の熱い入浴は血圧が急激に上下して脳梗塞、心筋梗塞の原因にもなり避けてください。
また脱衣所やトイレの暖房は大変有効です。
取り入れてみてください。

第19回「低温やけどにご用心」

冬場は暖房はかかせませんね。
しかし身近な暖房器具も、お年寄りや脳血管障害や糖尿病の方などは感覚が鈍っていることもあり、注意して使う必要があります。
体温以上の熱が皮膚の同じ場所を長時間あたためると低音やけどを起こすことがあります。
つまりストーブ、温風ヒーター、電気カーペット、電気こたつ、湯たんぽ、使い捨てカイロ、暖房便座などです。
低温やけどはゆっくり焼いていきますので、皮膚の表面は少し赤い程度であっても体の深い所まで広範囲に損傷していることがあります。
健常者でも泥酔や極度の疲労、睡眠薬を飲んだ時などは注意が必要です。
低温やけどは予防が第一です。
お年寄りはつい寒がりで1日中暖房の前に居ることもありますので、周囲の方は背中やお尻、かかとなど気が付きにくい所を時々チェックしてあげて暖房温度を調節してあげてください。
また使い捨てカイロ等は決して皮膚に直接貼らず、必ず着衣の上から貼ってください。
治療については、やけどが浅ければ軟膏治療で治ることもありますが、重症の場合は手術が必要なこともありますので、低温やけどが疑われるときは素人判断で手持ちの軟膏を塗るのではなく、必ず医療機関を受診するようにしてください。

第18回「慢性心不全の方増加中」

よく誤解されますが心不全とは病名ではなく、何らかの原因で全身に血液を送る心臓のポンプ機能が低下した状態を表わし、急性と慢性に分けられます。
慢性心不全とはこの心ポンプ機能低下が長期に慢性的に続く状態で、従来心筋梗塞や弁膜症など元々心臓病歴のある方に多かったのですが、近年、明らかな心病歴のない方、例えば高血圧や不整脈の内の心房細動、糖尿病やメタボリック症候群などが元になり心不全になる方が増えています。
つまり生活習慣病から心不全に至る方が増えているのです。
症状としては、疲れやすい、呼吸苦、少しの歩行、運動での息切れ、また高齢者では食欲不振、呼びかけに対する反応低下等があり、さらに進行すると夜間息苦しくて目が覚める、横になると苦しく、座って寝る等の症状が出現し、ついには急激に悪化して死に至ります。
この予防はまず基礎にある生活習慣病をできるだけ早期から、できるだけ低い値にコントロールすることが重要で、もちろん禁煙は不可欠です。
診断は心電図、レントゲン、エコー検査、ホルター心電図等により行ない、病態に応じた治療と共に家庭では徹底した塩分制限が必要となります。
歩行時等に少しでも息切れを感じる方は一応循環器専門医の受診をお勧めします。

第17回「高齢者こそ筋肉トレーニングを」

高齢者の健康維持目的の運動として従来ウォーキングや水泳等の有酸素運動が推奨されてきました。
しかし高齢者が健康的な自立した生活を送るためには、年齢と共に減る筋肉や骨密度を改善する必要があり、その目的には有酸素運動だけでは不十分です。
特に転倒防止には筋力トレーニングは有効で、筋量骨量が増えるだけでなく脳から筋肉への神経伝達速度が速まるため、動作が滑らかになり反射も良くなりとっさの姿勢制御ができるようになります。
さらに動作がスムーズになると外出等にも自信がつき、積極的に明るい生活が送れ精神的にも様々な好影響が認められます。
また脂質や糖の代謝も改善され体脂肪も減り生活習慣病に対する良い効果も期待できます。
高齢者に適した運動とは特別な施設や器具が不要で、いつでもどこでも手軽にでき、自体重を使った低強度の安全な運動です。特に安全性は最重要な問題で、高齢者は関節、血圧心臓の問題や様々な慢性疾患を持つ方も多く事前に必ずメディカルチェックが必要です。
またトレーニングは経験の深い専門家の指導を受ける事が安全性効果両面から見て重要です。
80歳以上の方でもトレーニングにより筋量は増えると報告されています。
筋力トレーニングは特別な人のためのものではありません。
皆さん筋力トレーニングで豊かな生活を送ろうではありませんか。

第16回「いびきの体の危険信号」

最近、鉄道機関士の事故をきっかけに睡眠時無呼吸症候群の怖さが知られるようになってきました。
この病気は激しいいびきや睡眠中の呼吸停止が頻繁に起こり、そのため起床時の頭痛や日中の強い眠気、倦怠感などの症状が起こってきます。
有病率は人口の2%程度といわれています。
この状態が長く続くと循環器疾患の合併率が高くなり高血圧・狭心症・心筋梗塞・脳血管障害などが2~4倍多く発症するといわれています。
また、交通事故の発生率はこの疾患のない人の7倍に達するといわれています。
また日中の眠気のために仕事に支障をきたしたりと社会生活に重大な悪影響を引き起こします。
しかし、診断、治療法は確立された病気ですので適切に検査、治療を行えば決して怖い病気ではありません。
この病気を詳しく検査するには終夜睡眠ポリグラフィーという検査を行います。
以前は1~2泊入院して睡眠中の様々な記録をとる必要がありましたが、最近簡単にご自宅で装着し、睡眠中の呼吸状態を調べられる装置も開発され、手軽に検査できるようになっています。
その上で明らかに睡眠時無呼吸症候群であると診断されれば、寝る前に鼻、口などに装着して呼吸が止まった時は自動的に空気を送り込む装置をつけることが治療法となります。
夜間の呼吸停止やいびき、日中の眠気、倦怠感の強い方などは一度検査されることをお勧めします。

第15回「意外に多い夏の脳梗塞」

実は1年の中でも夏場は脳梗塞の起こりやすい時期です。
これには脱水が大きく関係していますが、その他に非常に大事なことは日ごろからの血圧のコントロールとタバコを吸わないことです。
高血圧の方は正常血圧の方に比べ数倍脳梗塞が多いと言われています。
また糖尿病、高脂血症の方もコントロール不良だと頸動脈や脳の比較的太い血管の動脈硬化が進み、時にその弱い部分が破れたりはがれたりして急性脳動脈閉塞をきたすことがあります。
また心房細動という不整脈や心臓弁膜症の方は心臓の中に血栓ができ易く、それが飛んで脳につまってしまうとやはり脳梗塞を起こします。
ですからこれらの方は日ごろからの血圧や血糖、コレステロールのコントロールはむろんのこと、禁煙、適正体重の維持、水分を1日1.5~2リットルを6~8回に分けて取る(ビールはダメですよ)、適度の運動などに心がけてください。
病気のない方も禁煙、太らないこと、水分を十分取ることは大変重要です。
また心房細動、弁膜症の方は専門医の治療が必要です。
危険因子のある方は動脈硬化ドックをお勧めします。

在宅医療専門サイト
TEL:078-708-3800